「ブラックバーニング!」
《ブラック・マジシャン・ガール》の可愛らしい杖から紫の光弾が迸り、やがて《格闘ネズミ チュー助》へと放たれる。
下級モンスターであれば一瞬で焼き尽くす黒魔術の炎がチュー助を包み込み、爆殺-のはずが。
「フン!」
チュー助はなんと、ブラックバーニングを猛烈な速度で蹴り上げた。すると、火炎弾はチュー助の体をほぼ垂直に逸れ、遥か天空へと消えていった。
「な!? どうして…」
「フン、師匠の魂も碌に受け継いでいない小娘の魔術なぞ今の俺には効かぬわ。」
チュー助がそう言うと、身に着けていた首飾りが不気味に光った。
《下剋上の首飾り》― かつて何のとりえも無い下級魔術師が上級魔術師に対抗するべく作った、呪いの魔導具である。
「では、今度はこちらから行くぞ。」
「や、やめっ……」
ガールの制止もむなしく、チュー助は凄まじい速度で拳を、蹴りをガールに繰り出した。
「あがあああああああっ!!!!!!」
猛烈な連打はガールの柔肌へ瞬く間に傷を刻み込んだ。
パンチや蹴りからは、本来なら達人によるものでしか発生し得ない衝撃波が生まれ、服すらもはじけ飛んでいく。
ガールも防御態勢を取り必死で耐えようとするが、格闘技の経験のない華奢な娘が攻撃を凌ぎきれるわけもなく―
ズボッ!!
「お゛げ゛ぇ゛!?」
強烈な拳が鳩尾にめり込み、少女のものとは思えない濁った悲鳴がガールの口から漏れた。
「あ゛っ……かひゅ………」
体中から急激に酸素が失われ、瞳が裏返り始め、意識が遠のく―
やがて魔法による浮力を失ったガールは、杖を取り落とし、仰向けに倒れこんだ。
その際の衝撃で魔術師の証である帽子が外れ、ガールは苦痛にあえぐ「ただの少女」と化した。
「まだ息があるな……」
「ひっ い、いやっ」
チュー助の言葉に怯えるガール。その姿にもはや上級魔術師としてのプライドは無い。
その姿を見ても尚、チュー助は躊躇なくガールへと近づき―
「お゛う゛っ!?」
彼女の首を締め上げ始めたのだった。
(や、やめて、しんじゃう……)
満身創痍の中わずかながらも呼吸をしていたガールだったが、その一縷の救いすら急激に絶たれてしまい、心が絶望に塗りつぶされていく。
(お師匠様、ごめんなさい……)
生命が消えゆく中、最後に浮かんだのは師匠の顔だった。
「あ゛っ……」
そして、股間から生暖かいものを感じるのと同時に、ガールの意識は完全に絶たれた。
最後に彼女が残したものは、口から泡となってあふれ出た唾液、凄まじいアンモニア臭のし尿、そして行為中の娼婦のように張り上がった乳からあふれ出た、飲む者も居ない母乳だけだった。