2015年11月10日火曜日

久々P3Pリョナスクショ













ハム子の新作できた―よ


↑今回ハム子と一緒にリョナられる、大橋舞子の画像。

↓本編

象徴化―
影時間において、ペルソナ適性の無い一般人は黒い棺の姿に変わる。それが象徴化。
そして、影時間が終われば何事もなかったかのように元の姿に戻り、影時間を体験すること無く終わる。
だがそれは戦う術を持たぬ者にとって、闇に蠢く者共から身を守るための手段でもある。

だが時として、その救いを得られぬ者も居る。
シャドウは救済からあぶれた者の精神を喰らい、生き延びているのだ…。

――――――――――――――――――――――――――――――――

僅かな電灯だけが頼りの、薄暗い路地。
時間は既に深夜0時前を回っており、塀の向こうにある家々からも光は消えている。

「………」

その中を進む、小さな人影。
まだ齢10にも満たない少女、大橋舞子は無言で夜の街を歩いていた。
ピンクのヘアゴムで作られた2つのシニョン、ピンクの生地に虹の模様がプリントされたTシャツ、
デニム生地の小さなミニスカートに上着、小さな白いソックスに靴、そして背には赤いランドセル。
手には、家庭科の授業で作った小さな手提げ袋。
彼女の姿は、どこにでも居る小学生の女の子そのものだった。

彼女は、虐待などで家を追い出された訳ではない。自発的な家出である。
自分を無視して夫婦喧嘩をする両親に疲れ果て、家出を企てたのである。
両親に見つからないよう、敢えて人気の少ない道を選び、できるだけ遠いところへ逃げようとしていた。

(もう、あるけない………)

だが、舞子の体力と精神は既に限界を迎えようとしていた。
硬いコンクリートの地面を延々と歩いたせいで足は限界を迎え、
人気も無く暗い道を歩くという不安は、幼い彼女の精神を酷く不安定にさせていた。
唯一の支えだった手提げ袋一杯のお菓子も、既に食べ尽くし今は袋しか残っていない。

(おうち……かえりたいよう……!)

あれだけ嫌になっていた自宅での光景が、今では愛おしく感じられる。
罵声を浴びせ合う両親、しかし彼女の身体は温かい布団に守られていて。
何より、その空間には『人』が居た。頼るもの、縋るもの無い辛さを、幼い彼女は痛感する。

「ひっく……ひぐっ……」

とうとう、舞子は塀にもたれかかるように座り込み、泣きじゃくり始めた。
僅かな明かりである電灯が、心身ともに追い詰められた哀れな姿を照らしだす。
普段は優しかった父母の顔を思い出しながら、上着の袖を涙で濡らす。
孤独感から来る悲しみは、抑えようのない涙として溢れ出て止まることは無く。

「ひっく……ぐすっ……」

5分程経った頃だろうか。ひとしきり泣いた舞子は腫れ上がった瞳で手元の腕時計を見る。
女児向けのキャラクターのプリントをバックに、針は23時59分を指していた。

その時、右方から乾いた足音が聞こえてくるのを舞子は聞き逃さなかった。

「!!」

見ると、暗がりの中にスーツを着た若い男性が歩いているのが見える。
革靴の立てる乾いた音が、次第に舞子の方へ近付いてくる。

(あ、あのひとなら、たすけてくれるかも……!!)

近づいてきた男性の姿が徐々に明らかになってくる。
疲れた顔をしているが、顔つきは精悍で、真面目そうな雰囲気。
知らない人について行ってはいけません、と学校では教えられたが、舞子は彼なら大丈夫だと判断した。
舞子は立ち上がり、男性の方へ身体を向ける。

「ん……!?」

疲労の色が濃かった男性の顔が、見る見るうちに驚いたような顔になる。
子犬のような瞳で男性を見つめる舞子、君、どうしたの?と声を上げる男性。

その時、舞子の悲劇の幕が上がった。

「え……」

一瞬の出来事だった。
唯一の明かりだった電灯は消え、周囲が深緑の暗闇に包まれる。
男性は黒く大きな棺桶へと姿を変え、道路には所々鮮血を撒き散らしたかのように赤く塗られる。

『象徴化』という救いを得られずに、舞子は一人、影時間に落とされていた。

「あ、あぁ……」

周囲の変化を受け入れられず、舞子は膝を折られるように地面に座り込んだ。
膝に硬い衝撃が地面から伝わるが、舞子はそれを痛がる余裕も無かった。
そして、呆然としながら目の前にできた棺桶を見上げる。

かんおけ
たしか、しんだ人がいれられるやつだっけ

舞子はボンヤリとそのことを思い出していた。

じゃあ、あのおじさんはしんじゃったの?
まいこは、どうしていきてるの?

少女の頭は段々と混乱してくる。
やがて目の前のものを『死』の象徴とみなした舞子は、それから目を背けるように道路の端に目を見やる。
だが、そこに映っていたものは、もっと残酷なものだった。

「ひぃぃぃぃぃぃ!?」

そこにあったのは、鮮血を思わせる大量の赤い水たまり。

ち、ち、ち、ち!!!!!
ちが、いっぱい!!!!!!

本当に血かどうかは定かではないその水たまり。
だが、注射も、血を見るのも苦手な子供の舞子が恐怖するには十分なものだった。

「ひ、ひぃ、ひぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?」

それから舞子は、ランドセルにもたれかかるように尻餅をつき、
身体を震わせながら後ずさりをする。
脚を開くのはみっともなくていけません、と以前母親に注意されたことを思い出す余裕は無かった。

「ひぃ、いっ、あぁ……」

辺りに散りばめられた『死』の象徴、誰も居ないという絶望―
幼い舞子の心は、『恐怖』の許容量を超えていた。

「あぁ………」

舞子の意識も、闇の中へと落ちていく―


――――――――――――――――――――――――――――――――

「うぅ……」

舞子が再び目を覚ましたのは、それから30分程経った後だった。
薄く目を開けると、目の前には相変わらず血溜まりのような赤が広がり、
棺桶と化した男性もそのままだった。

(もう、やだっ……!!)

舞子は、現実から目を背けるように強く瞳を閉じた。
さっきのは夢で、きっとこれはただの夢の続きだ、そう思い込みながら。

だが舞子はこの後、影時間に落ちたものが体験する
真の恐怖を知ることになる。


グジュルルルルル………


「!?」

聞いたこともない、重苦しい呻き声。
舞子は驚いて目を開ける。
そして、声の聞こえた右方に目をやると、そこには恐ろしい光景。

「ひっ!?」

男性の棺桶から黒い塊のようなものが、蓋からはみ出るように3つ、ビチャリと音を立てながら地面に落ちる。
異形で、汚らしいそれを見た舞子は戦慄する。

そして―

ズボォ!!

そのうちの2つから、紫色の仮面と黒い腕が生える。
影時間の怪物―シャドウが舞子の前に姿を表したのだ。

(ば、ばけもの……!!)

舞子はそれが何なのか理解できなかったが、危険な生物であることは容易に察知できた。
二匹のシャドウは、ゆっくりと這いずるように舞子に迫る。

「い、いやぁ、あっ」

舞子は必死でお尻を引きずりながら後ずさるが、そのような動きで逃げられるわけもなく、
シャドウは徐々に距離を詰めてくる。

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

舞子は身体を捻り、なんとか膝をついて立ち上がり駆け出した。
何度か足がもつれて転びそうになるが、必死で踏ん張り、疲れていたことも忘れて一心不乱に走る。

だが、舞子の逃走劇は僅か数秒で幕を閉じた。

「ぎゃう!?」

突然、舞子の全身に痺れるような痛みが走る。
舞子はバランスを崩し、半回転しながら仰向けに倒れこんだ。

「あ、あうぅ、うぅ」

シャドウが弱い電撃魔法を放ち、舞子の身に浴びせたのだ。
舞子は再び立ち上がらろうとするも、手足がピクピクと痙攣している状態で、まともに力を入れる事ができない。
ランドセルのおかげで頭を打たなかったのは幸いだったが、シャドウに捕らえられるのは時間の問題だった。

やがて舞子の小さな足を、なにか冷たくて柔らかい物が当たる感触が包み込む。

「ひ、い、いやぁ………!!!」

一体のシャドウが身体を大きくうねらせ、舞子の全身をその黒く不浄な身体で覆い尽くそうとしていた。

もうだめ
たすけて
たすけて

舞子は死を覚悟し、瞳を閉じ、頭の中で何度も「たすけて」という言葉を響かせた。

その時。

「ペルソナッ!!!」

聞き覚えのあるような声。

エメラルドグリーンの光が、舞子の前で風のようにうねる。
驚いた舞子は両腕を組んで顔を覆う。

特に痛みは無い。
恐る恐る腕の構えを解き、視界を開く。
自分に覆いかぶさらんとしていた怪物は、赤黒い霧を上げながら消滅していた。

そして、シャドウの死骸が消えたその先には。

「お、おねぇちゃん……!!」

風にはためく、アップ気味に結われた明るいブラウンの髪。
暗闇の中でも輝く大きな真紅の瞳。
綺麗な身体に映える水着型の鎧。
肢体を覆う純白の長手袋とロングブーツ。
手には薙刀と、銀色の銃。

おねぇちゃんがたすけにきてくれた!

特別課外活動部リーダー・黒鷺朱美…舞子にとっての『おねぇちゃん』が、そこにいた。
普段、両親に代わって公園で遊んでくれる時とはまるで別人のような姿だが、
逆に今は、それが頼もしく見えた。

「舞子ちゃん、今助けるからね!!」

その言葉に舞子はハッとする。もう一体のシャドウが舞子の傍まで近寄っていたのだ。
未だに体の痺れが残る彼女の身体では、立ち上がることもままならず為す術もない。

「や、やぁっ……」
「させない!!!」

朱美は舞子の方へと駆け、シャドウの方へ詰め寄る。
シャドウは朱美が武器を振り下ろす前に彼女に気付いたが―遅すぎた。

「やぁっ! はいっ!」

一太刀、また一太刀と薙刀の一撃がシャドウに加えられる。
シャドウはなんとか原型を保っていたが、最早虫の息であることは舞子の目から見ても明らかだった。

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」

そして、朱美は身体を回転させながら跳躍し、その勢いを利用して薙刀を振り下ろした。
勢いを増した薙刀は、シャドウの身体を真っ二つに寸断する。
くぐもった声を上げながら、シャドウは赤黒い霧を上げて消滅した。

「お、おねぇちゃん……」

朱美は息をつくと、舞子の方を振り返る。

「大丈夫? ケガはない?」
「お、おねぇちゃん……うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

安堵、喜々、様々な感情が綯い交ぜとなり涙として溢れ出る。
朱美は薙刀を置いて跪き、舞子を胸に抱いた。
舞子の鼻は汗の混じった、だがどこか良い匂いを感じ取る。

「うっ、えぐっ、うわぁぁぁ………」
「怖かったね。もう大丈夫だから。」

朱美は舞子が落ち着くまで、何度も彼女の頭を優しく撫でた。
舞子はその感触を何度も噛み締めた。。
白い手袋を着けた朱美の手は、いつもの手と違いすべすべしていて、どこか心地良い。

その後、落ち着いた舞子はもう大丈夫だよ、とばかりに朱美の顔を見上げてはにかんだ。
お互いに立ち上がり、まじまじと見つめ合う。

そして、舞子は先程からずっと気になっていたことを尋ねた。

「おねぇちゃん、どうしてそんなかっこしてるの?」
「うっ、えっと、それは……」

朱美は答えに詰まる。やむを得ぬ事情があるとはいえ、特別課外活動部の部外者である彼女にシャドウと戦う所を見せるのはあまり好ましくないことであった。
また、自らの格好が戦いのためという大義名分なものであったとしても、いささか破廉恥すぎることも自覚していた。
自分より6つ以上は年下の子供の前で太ももや尻肉、肩や胸を大きく露出した衣装を着ているのだから。

「いいよ、こたえにくいなら。みんなにはないしょね!」

舞子はニッコリ笑ってそう言った。家庭環境のせいか、彼女は少しませたところもある。

「それに…かっこよかった、よ」
「…あ、ありが、とう」

舞子も朱美も、少し照れながら言った。
舞子の言葉は、お世辞ではなかった。女性として魅力的な部分を惜しげも無く出した格好で、美しく舞う朱美の姿を。
それを、一生忘れない思い出として刻みこむことを舞子は決めていた。

「……ふふっ、おねぇちゃん強いでしょ?」
「うん! ぜんぜんしらなかっ……た……」
「?」

だがその憧れの姿が、すぐに崩れ落ちてしまうことを舞子は後に知ることとなる。

舞子は気付いていた。
朱美の背後の電灯から、
それまで気づかれることになかった3匹目のシャドウが、こちらを狙っていることに。

「おねぇちゃんあぶない!!!!」
「えっ?」

遅すぎた。

舞子が叫んだ後、黒い塊が朱美の顔にボトリと落ちる。

「!? ん、んむぅ!?」

粘性の黒い塊は朱美の顔を一瞬で覆った。
そのシャドウは先ほどのシャドウより身体の透明度が高く、
驚き、苦悶する朱美の顔が舞子にもはっきり見えた。

「お、おねぇちゃん!!」
「むっ、んむっ、んんーーーーーーーっ!!!!」

朱美は苦しみもがき、身体を振り回してシャドウを引き剥がそうとするが全く剥がれる気配はない。
気持ち悪さ、息苦しさが朱美の身体を支配し、彼女の身体から大量の汗が吹き出す。
手で引き剥がそうとしても、純白の手袋を汚すだけに終わった。

「ん、んむぅ、ん゛っ………」
「お、おねぇちゃん! そんなやつにまけないで!!」

次第に呻き声も弱々しくなっていく朱美を舞子は必死で鼓舞するが、耳を塞がれている彼女にそれが届くことは無い。
やがて朱美の足がふらつき始め、膝がガクガクと震え始める。

「んんぅ…………」

朱美はとうとう意識を失い、足をがに股に開いて仰向けに倒れた。

「お、おねぇちゃーーーーーん!!!!」
「………」

舞子の叫びんだ後、朱美の身体がピクピクと小刻みに痙攣した。
その後顔にへばりついていたシャドウが朱美から離れ、彼女の首の方へと動いた。
塞がれていた彼女の口から大量の唾液が零れ出る。

「ひっ……」

舞子は瞳を潤ませ、次は自分の番かと身震いする。

だが、シャドウは意外な行動に出た。スライム状の怪物は朱美の膨らんだ胸の辺り迄来ると―

バチィ!!

「!?」

突如、放電した。
電気によるショックのせいか、朱美の身体はビクンと反り返る。図らずもハイレグの鎧に包まれた股間を、舞子の方に見せつけるような形で。
その光景に舞子も驚いて後ずさりする。

「……かはっ!? げほっ、ごほっ……」
「お、おねぇちゃん!?」

突然目を覚ました朱美を見て舞子は再び驚く。
乱暴に蘇生された朱美は激しく咳き込み、道路に彼女の唾液が飛び散る。

「かはっ、はぁ、はぁ、はぁ………」
「だ、だいじょうぶ!?」

だが、蘇生された彼女は荒々しく呼吸をするだけで全く動く事が出来なかった。
窒息から回復したばかりの身体では、うまく力を入れることが出来ない。

「くっ、ま、またっ……!!」

シャドウは我が物顔で、再び朱美の顔の方へと向かった。
先程までの苦しさと粘ついた感触を思い出し、朱美は必死でもがこうとするが、震える手足が動くことはなかった。

そして、再び朱美は受難に見舞われる。

―先程よりも激しい苦痛を伴って。

「うくっ!?」
「お、おねぇちゃん、どうしたの!?」

またもや、シャドウは意外な行動に出る。
シャドウは朱美の顔を覆うことはせず、
自らの軟体を生かして、朱美の首に巻かれた金属製の防具の隙間に入り込んだのだ。

「うぅ………あぐぅっ!?」
「お、おねぇちゃん!?」

朱美は最初気持ち悪さに悶えるだけだったが、突然ブーツに包まれた脚をばたつかせ、苦しみ始める。

シャドウが、身体の固さを変化させ朱美の首を締め始めたのだ。

「う゛あ゛ア゛あ゛ぁっ!!! ぐぎゅウ゛ぅ!?」
「ひぃ!?」

朱美の顔は見る見るうちに真っ赤になり、目を見開き、喉から絞り出すような悲鳴を上げる。
舞子はその悲鳴に、思わず恐怖し身体を竦ませる。
朱美は首に手を当てがい引き剥がそうとするも、先程と同じように無駄な抵抗に終わった。

「あう゛ウぅっ、かはァ、あう゛う゛ウ゛う゛う゛ッ!?、ゲホォ!?」

時々力が緩んでいるのか、たまに乱暴に息を吐かせられながら朱美は首を締められ続ける。
一思いに失神出来ない分、苦悶の時は長く続いた。
時間が経つに連れ脚の動きは乱れ、腕に力が入らなくなる。

先程まで無敵の強さを誇っていた朱美が、為す術もなく苦しみ喘いでいる―
舞子はその光景にすっかり怯え、尻餅をついてガタガタと震え始める。


「ア゛あ゛ぁぐグッ、ウ゛ッはァア゛ッ…………」

遂に終わりの時は来た。シャドウが止めとばかりに力を強めると朱美の脚はビクン、ビクンと跳ねた。
腕もガクガクと震え始め、次第に朱美の首から離れていき、小刻みに痙攣し始める。

「グア゛ぁッ………アウ゛ッ………」

再び、朱美は意識を失った。
だらしなく開いた口から舌を出し、白目を剥いた状態で。
先程よりも開かれた脚はピクピクと痙攣し、時々ピクンッ!!、と大きく跳ねる。

「あ……あ………」

無残な朱美の姿に、舞子はすっかり言葉を失っていた。
彼女の敗北を信じられず、ただ呆然と無様に失神した朱美の姿を眺めていた。
だが直後、更に信じられない光景が舞子の前で繰り広げられた。


チョロチョロ……


朱美の股間から、黄色い液体が流れ出る。

おもらし。

舞子とて小学校、いや幼稚園に入ってからは晒したことのない醜態。

それを、高校生の朱美が、
大人の女性の象徴である、ヒールの高い靴を履いた朱美が、
先程自分を助け出してくれた、朱美が。

舞子は、言葉で言い尽くせない程のショックを受けていた。

「ごボっ、ボっ、ごぼボぼッ」

シャドウが漸く朱美を締める力を緩めると、朱美は口から大量の泡を吐いた。
自らの体液で汚れていく朱美の醜態に、舞子の『おねぇちゃん』に対するイメージはどんどん崩れていく。

そして、壊れそうな舞子の心に訪れた更なる悲劇。

シャドウは、緩く朱美の首に巻き付いたまま―

バチバチバチバチバチバチバチィッ!!!!!!

激しくスパークする電流を放った。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!
 う゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァン゛!!!!!!!!」
 
先程よりも激しい電流が朱美を襲った。
激しいショックにより無理やり戻される朱美の意識。そして、響き渡る絶叫。
全身はこれでもかというほど激しく痙攣し、股間からはものすごい勢いでし尿が吹き出した。

舞子はその場から動けず、アンモニア臭のする液体を全身に浴びながらその地獄絵図を呆然と眺めていた。
『おねぇちゃん』の凄惨な悲鳴を、耳で塞ぐことも出来ずに。

「ア゛ア゛ア゛ァァァァァッ!!! ヤ、ヤメ゛ェェェェェェェェェェェェェェッ!!!!」

全身が炎で炙られるような痛み。
朱美の口から命乞いの言葉が出る。
だが、その言葉を聞いたのは何も力の無い舞子だけだった。
命乞いをする朱美の姿を、舞子は絶望と失望の入り混じった瞳で呆然と見つめていた。

「い゛ヤ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!」

ビクンッ!! ドサァッ! ビクビクビクッ!! ビクンッ!

絶叫後、朱美の身体はこれまでにないほど大きく跳ね、その後大きな音を立てて地面に崩れ落ちた。

三度、朱美は意識を失った。
もう、電流によるショックで目覚めることも無いだろう。いや、最早生きているのかどうかさえ解らない。
白い肌や明るいブラウンの髪は焼け焦げ、全身からは黒い煙が上がっている。
スラっと伸びた肢体は絶え間なく痙攣し、それを覆う白いブーツや手袋は所々破け、防具としてもファッションとしても使い物にならなくなっていた。
彼女の股間には撒き散らされた小便の池が出来、エナメル質のブーツが焦げた匂いも相まって近寄りがたいほどの匂いを放っていた。
残されたのは、舞子一人。
助かったはずだった。何時もより素敵な『おねぇちゃん』の姿も見れたのに。
目の前に居るのは、汚物同然と化した『おねぇちゃん』の姿だった。

「……おねぇちゃん」

問いかける舞子。だが朱美は何も喋らず、ただピクピクと跳ねるのみ。

「う゛っ………ん゛っ、お゛え゛え゛え゛え゛ッ」

辛すぎる現実と耐え難い匂いのせいで、舞子は膝を付き、吐瀉物を思い切りぶちまける。
完全に壊れた舞子の心には、悲しみすら宿っていなかった。
涙はこぼれているが、これは吐瀉物と一緒に出てしまっているだけ。

ビチャ………ビチャ……

吐瀉物を掻き分けるように、朱美の首から離れたシャドウがやってきた。

もう、いいや。 

このこに、たべられてしまおう。

帰るべき場所も、尊敬する『おねぇちゃん』への幻想も失った一人の少女が選んだ道は。

怪物に、自らのを精神を差し出すことだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――

とある病院の一室。
シャドウに精神を食われた舞子は、ここに運び込まれた。
彼女は誰の話にも応じず、眼と口をだらしなく開きながらあー、と呻くだけ。
隣のベッドには、奇跡的に一命を取り留めたものの、
全身を包帯で巻かれほぼ植物人間状態になった朱美が横たわっている。

駆けつける舞子の両親。
母親はヒステリックに泣き叫び、隣で眠る朱美に向かって呪詛の言葉を吐く。
父親がそれを制すが、それが引き金となり二人は口論を始める。

――――――――――――――――――――――――――――――――

そんな現実世界から逃げた舞子は、夢を見ていた。
黒い空間で一人泣いている舞子。そんな時、いつもどおりの制服に身を包む朱美の後ろ姿を見つけた。
可愛らしいポニーテールに、彼女であることを確信する舞子。
だが振り向いた朱美は、白目を剥き涎と小便を垂らしながら舞子に襲いかかった。
必死で逃げる舞子。朱美は追いかけるも途中で転び、地面を這いずり始める。
その光景から目を逸らし、舞子は彼方へと逃げ出し、また一人となった。


朱美も夢を見ていた。
ハイレグアーマー姿で大衆の前に磔にされ、凄まじい量の電流を浴び、小便を漏らしていた。
大衆から沸き起こる嘲笑。その中に舞子の姿が混じっているのを朱美は見逃さなかった。
『こうこうせいのくせにおもらしなんて、はずかしいよおねぇちゃん』
どんな民衆の嘲笑よりも、舞子の言葉が胸に深く突き刺さる。
やめて、やめてと懇願するも、そんな朱美に次なる電流が加えられ―

結局夢の世界にあっても、彼女達に安息が訪れることはなかった。

-END-